視能訓練士国家試験 第47回 午前 解説 32
32 眼圧検査で結果の信頼性が下がる要因はどれか。
1.空気や器具が角膜に接触することを説明する。
2.両眼とも大きく眼を開けるよう声をかける。
3.上眼瞼を挙上し睫毛を上向きにする。
4.眼球を押しながら開瞼する。
5.固視標の注視を促す。
答え : 4
触診法以外は角膜表面の状態から眼圧を測定するので、眼瞼を開くことや睫毛がかからないことが重要。また、患者に注視を促すことや事前に検査の説明をしておくことでスムーズに検査が行える。
眼球を圧迫すると本来の眼圧から離れてしまい信頼性が下がる。
視能訓練士国家試験 第47回 午前 解説 31
31 スペキュラーマイクロスコープで誤っているのはどれか。
1.角膜上皮を観察できる。
2.角膜内皮を観察できる。
3.細胞密度1,500個/mm2は正常である。
4.鏡面反射法を用いた生体顕微鏡である。
5.正常眼の六角形細胞率は60〜70%である。
答え : 3
スペキュラーマイクロスコープは鏡面反射の原理を利用して、角膜内皮の観察する検査。
細胞密度の正常値は20~40歳で3,000個/mm2以上、60歳以上で2,500~3,000個/mm2とされており、2,000個/mm2以下は異常値。また、500個/mm2以下になると角膜の透明性が維持できずに水疱性角膜になる。
六角形細胞率の正常値は20~40歳で65~70%、60歳以上で60~70%とされており、50%以下は異常値。
特殊なコンタクトレンズと接触型スペキュラーマイクロスコープを用いることで角膜上皮の観察が可能。
視能訓練士国家試験 第47回 午前 解説 29
29 細隙灯顕微鏡で検査できないのはどれか。
1.後発白内障
2.房水産生量
3.角膜内皮細胞
4.涙液メニスカス
5.涙液層破壊時間
答え : 2
細隙灯顕微鏡(スリットランプ)は、眼瞼、瞼結膜、球結膜、角膜、前房、虹彩、水晶体、前部硝子体、後部硝子体、隅角、眼底を観察できる。
隅角、眼底、後部硝子体の観察は三面鏡、90Dレンズ、スーパーフィールズなど前置レンズを用いる。*1
後発白内障は徹照法を用いる。
角膜内皮細胞の観察は鏡面反射法を用いる。
涙液メニスカスと涙液層破壊時間はフルオレセイン生体染色を用いて細隙灯顕微鏡で検査する。
房水産生量の測定はフルオロフォトメトリで検査するので、細隙灯顕微鏡では検査できない。*2
視能訓練士国家試験 第47回 午前 解説 28
28 眼瞼下垂の原因検索に必要でないのはどれか。
1.眼位検査
2.直像鏡検査
3.瞳孔径測定
4.眼球突出計検査
5.アイステスト<冷却テスト>
答え : 2
眼瞼下垂を伴う疾患*1
- 動眼神経麻痺による眼瞼挙筋の麻痺
- ホルネル症候群
- 重症筋無力症
- 交感神経麻痺による瞼板筋の麻痺
- 先天眼瞼下垂
眼位検査は動眼神経麻痺、瞳孔径測定はホルネル症候群、アイテスト(冷却テスト)は重症筋無力症の鑑別として行う。
ハードコンタクトを長期に渡って装用している人や、眼瞼の腫瘍の瘢痕化で上眼瞼の運動を妨げるものを機械的眼瞼下垂という。
眼球突出検査は、眼球突出だけではなく眼球陥凹(眼のへこみ)を調べるために用いる。*2眼球が凹んでいると瞼が被さってくる。
眼球突出
眼球陥凹
- 眼窩骨折
- 眼窩減圧術後
- 老人性眼窩脂肪萎縮
以上より、眼瞼下垂の鑑別に眼底検査は必要ない。よって答えは2の直像鏡検査。
視能訓練士国家試験 第47回 午前 解説 26
26 交代性上斜位で正しいのはどれか。
1.Heringの法則に従う。
2.内方回旋しながら上転する。
3.遮閉眼は下転してから上転する。
4.片眼を遮閉すると両眼同時に上転する。
5.一方の眼で固視しているとき他眼が上転する。
答え : 5
交代性上斜位*1
交代性上斜位(DVD)は間欠性上斜視である。一眼を遮蔽すると、もう一方の眼が上転する。
上転眼は外方回旋を伴う。
水平斜視、弱視、潜伏眼振など多くの随伴症状を伴う。交代性上斜位が単独でみられることは珍しい。先天内斜視に合併することが多い。
両眼視機能異常を示すものが多い。斜頸などの頭位異常がみられる。
*1:視能学 第2版 p.362,363